「起業塾は未来ある活動」
2020年度塾長を務めた中村理紗子が考える、西千葉子ども起業塾のいまとこれから


2010年に誕生し、そこから毎年行われてきた西千葉子ども起業塾。2020年度は新型コロナウイルスの影響で、はじめてオンラインで開催された。西千葉子ども起業塾の塾長(リーダー)を務め、新しい取り組みに挑戦した中村理紗子さんに話を聞いた。
※このインタビューは2020年に行われました。

執筆者:田口瑠菜
聞き手:川畑守護

塾長中村理紗子の素顔

まず、中村さん自身のことについてお聞きしたいのですが、なぜ中村さんは千葉大学の教育学部に入られたのですか?

川畑

高校生の時から教員を目指していたので、千葉大学の教育学部に入りました。

中村

その中でもなぜ藤川大祐先生(※)の研究室を選んだのでしょうか。

川畑

※千葉大学教育学部 授業実践開発研究室 藤川大祐教授

教員になるために、授業開発の研究がしたかったので、様々な教科で新しい授業をつくられている藤川先生の研究室を選びました。

中村

なるほど。学校での研究以外は、普段どんなことをしていますか?

川畑

アルバイトを2つやっていて、個人指導塾での塾講師と、ストップイットジャパン株式会社の専任講師として『考え、議論する教材シリーズ「私たちの選択肢」』という教材の出張授業をしています。

中村

※アプリ。学生や従業員などのSTOP itアプリユーザーは匿名で簡単に担当者に問題を報告・相談することができる(修正予定)。

子どもに何かを教えるアルバイトを中心にやっているんですね。塾講師のバイトではどんな子どもを対象に教えていますか?

川畑

一番下は小学校6年生で、一番上は高校3年生まで。受験対策もあれば、定期テストの勉強の指導もしています。

中村

広い年代の子どもたちを教えているんですね。塾講師の経験で起業塾に役立ったことは何かありますか?

川畑

はい。塾講師をやっていたからこそ、起業塾で活かせたことはたくさんありました。例えば、起業塾で大人の方と話すときには、普段塾講師で生徒の保護者と面談をしてきた経験が役立ちました。

中村
2020年度西千葉子ども起業塾オンライン「MFeG会社」の会議の様子

初のオンライン開催、そして西千葉子ども起業塾のこれから

ここからは、起業塾についてお聞きしたいと思います。まず、「西千葉子ども起業塾」に携わることになったとき、どのように思いましたか?

川畑

千葉大学に入学してから、名前を聞いたことはありました。しかし、子ども対象に起業塾? 誰が起業するの? 何をやるの? と思っていました。聞いたことはあるけど、何をやっているかはまったくわからなかったです。

中村

なるほど。西千葉子ども起業塾がどんな活動なのかわからないところからのスタートだったんですね。そこから起業塾を塾長の立場で進めていくにあたって、どんな意識で運営に携わりましたか?

川畑

塾長は起業塾の“長”なので、学生はもちろん、大人の方とも関わる必要があって、学生と大人とをうまくつなげられるように意識しました。また、今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、急遽初のオンライン開催になったので、オンラインならではの企画を頑張ろうという意識が一番強かったと思います。

中村

学生と大人の架け橋のような役割を担っていたんですね。初めてのオンライン開催だったようですが、オンライン開催するにあたってどのような心構えで本番を迎えましたか?

川畑

はじめはとても不安でした。正直、オンラインで何時間もやるのは子どもたちが飽きてしまうと思っていたからです。だから子どもたちを「西千葉子ども起業塾オンライン」の世界観にうまく引き込めるよう意識しました。また、子どもたちに積極的に声掛けをすることで、オンラインだけど子どもたち同士や、子どもたちと学生がつながっている意識を持ってもらえるように努めました。

中村

人とのつながりを感じてもらうことはとても大切ですよね。どうしてもオンラインだと集中力がとぎれてしまうし……そのような状況の中で、実際にオンラインで子どもたちと関わってみてどうでしたか?

川畑

3日間の中で塾生が大きく成長したなと感じました。あまり積極的に意見が言えなかった塾生が意見を積極的に言えるようになったときや、みんなをまとめるタイプではなかった塾生が会社をまとめて話を進めるようになったときなど、会社として自分の役割をそれぞれが見つけていた姿をみた時に特に感じました。初日は、社長がまとめなければならないイメージがあったため、社長以外はみんな黙っていましたが、2日目、3日目は自分の役割をそれぞれが見つけていました。オンライン開催で子どもたちが仲良くなれていることも印象的でした。

中村

塾長を務めた中で、得たものはありますか?

川畑

自分はもともと、リーダーをやれるような人じゃないと思ってましたが、塾長を務めることで自分なりのリーダーシップがあるんだなと感じることができました。それがいまの自分の自己肯定感につながっているので、経験することができて良かったと思います。不安に思っていた教育実習も、塾長をやったから大丈夫だと強い気持ちで乗り切ることができました。

中村

なるほど。学生として運営に関わることでどのようなことが得られると思いますか?

川畑

運営をすることで起業家精神(※)を身に着けられると思います。社会人になる前の一歩手前である大学生で学ぶことで、社会人になった時に大きく活きてくるのではないかと思います。

中村

※“新しい事業分野を興そうとする精神”のこと。 英語で「entrepreneurship」(アントレプレナーシップ)と訳す。 具体的には、新しい事業分野を切り開くために必要な、想像力や発想力、行動力、チャレンジ精神、リスクを恐れない勇敢さのこと。

なるほど。では、子どもたちが起業塾に参加することで、どのようなことが得られると思いますか?

川畑

自分の良さを見つけられると思います。3日間を通して、子どもたちは「自分ってどういう人間なのだろう」ととても考えさせられると思います。また、大人と社会人と同じ立場で関わることで、社会の仕組みを学ぶことができることも良い点だと思います。

中村

2020年度はオンライン開催でしたが、今後の西千葉子ども起業塾、中村塾長の立場から見てどのような展望が考えられますか?

川畑

運営する側も、参加する側も、人が増えればより良いものになり、学びがもっと増えると考えています。特に、参加者が現在20人程度なので、これからもっと増えていくと思います。起業塾はとても未来ある活動なので、もっともっといろいろな人が関われるものになればいいなと思います。

中村
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